「よろしい。さっそく設計してみせるのだ、スービ・キュージット」 冒険に欠かせないアイテム収納ボックス、全方位カメラ、空を飛ぶ船――これらの発明をたった1人で成し遂げる男がいたとしたら? 彼こそスービ・キュージット。大学10年生、憲兵局の法改正を強いた回数4回、異常なネコミミ偏愛者にして、魔法学界の奇跡。そんな彼はある日、100年先の技術を持つコートボニー教授と出会う。スービは魔力の永久機関といわれる“永続魔石”を彼女と共に探すことになるのだが――。 これは大発明家の若き日の物語。そして、ライトノベルファンタジーの精髄。 第1回オーバーラップ文庫大賞“金賞”受賞作、ついに登場!
圧倒的に感じたのは「コートボニー教授の永続魔石」ですね。 最初に読んだとき、「これ、プロが名前変えて送ってきたんじゃねえの?」だったので。 第1回オーバーラップ文庫大賞 最終選考会コメントより一部抜粋
遍路道に棲まう、今年30になる魔法学者。魔法の事ばっかり考えていたらラノベ作家と魔法使いでデビューを果たした。
同年代の先輩作家の方が、そろそろ婚活を考えていらっしゃるみたいなので、俺も結婚して嫁さんと二人三脚でやっていった方がいいのかなーと思っていたところ、「女性を知ったとたんに可愛い女の子が書けなくなるよー」という話を別の先輩から聞いたため、いまのところ結婚する気はありません。俺からファンタジーを奪ったら一体何が残る? 何も残らない。
子どもの頃からずっと小説で賞を獲り、イラストでも賞を獲り、そして最後に華々しくマンガ家としてデビューする、という遠大なセルフメディアミックス戦略を夢に描いていました。
順当にいけば次はイラストで賞を獲る番ですが、大人になったいまはチームワークの大切さを知ったため、マンガやアニメの原作になって、ずっと好きだと言ってもらえるような小説を書くのが夢です。
しばしば小説のネタに行き詰まったとき、自分が子どものころ夢中になった物はなんだったか、というのを考えていました。
そのひとつに、NHKにプロジェクトXという技術者達のドキュメンタリー番組があって、子どもの頃はそれが大好きで毎週楽しみに観ていたので、ファンタジー世界で同じような事をやってみてはどうか、というアイデアそのものはずっと抱えていました。
しかし、そんなもの文章で書いてみても面白い読み物にするのは困難だろう、げんに誰も書いていないし、自分には到底書けないだろう、と尻込みして、ずっと書いてこなかったんです。
なので、閃いたというより、ようやく一歩前に踏み出した、という感覚に近いです。
ノープランで、本当に最後まで完成するか不安なスタートでしたが、伏線張りと、とっちらかったストーリーをキレイにまとめる事だけは得意だぜ、という自分なりの武器を持っていたのと、それまでに何作もの作品を書いて練習を重ねていたのと、なにより濃密な世界設定を事前に練っていたお陰で、特に何事もなくするするっと出来上がったのが嬉しかったです。
魔石工学機器、略して魔工機です。完成した理論によって組み立てられた未来の魔法道具です。魔法文明ものにはよくあるギミックですが、それを使ってこの角度でぐいぐい掘り下げていくファンタジー小説みたことねぇ、というところですね。あと、可愛いと思ったらなんか負けた気分になるヒロインのコートボニー教授もぜひ見てもらいたいです。
たしか、自宅でネットに掲載するための連載小説を書いていました。
最初、佳作になったというお電話をいただいたときの気持ちは、よっしゃ、東京行って遊べるぜー(田舎なので飛行機代だけで往復8万円くらいかかる)でした。
金賞になったと聞いたときはよっしゃ、東京に10回いけるぜーでした。あとからじわじわ来ました。
尊敬する先生方から選評をいただいて、ああ、そういやこんな人達が審査員やってたのか、と思い出して、吐きかけました。めちゃくちゃあがり症だったのです。授賞式のスピーチの時なんかは……聞かないでください。
コアな設定と、読んでて涙が出るくらい楽しいファンタジーが両立するような作品です。これに尽きます。
全方位ツッコミ待ちファンタジー! みなさん気楽に読んでね! とさいしょ銘打とうとしていたのですが、周囲からもの凄いプッシュされているらしいので、作者としても真面目なメッセージを考えざるをえなくなりました。
魔工機職人の主人公による、悩めるすべてのクリエイターのために作った、青春ハイファンタジーです。どうか末永く応援してください。うすうす。