幹部自衛官となって智謀を振るうことを夢見ていた少年・南雲竜基が転移したのは、
直前までプレイしていた異世界軍事シミュレーションゲーム“魔剣戦記”の世界だった。
そこで出会う多くの人々と、悲願を秘めた亡国の王女・アリサ。
ゲーム越しに眺めていた少女が目の前で微笑むその世界で、
竜基は持てる知識のすべてを生かし、運命を変える戦いへ挑むことになる。
幹部自衛官となって智謀をふるうことを夢見ていた日本の中学生。ゲーム“魔剣戦記”をプレイ中に異世界へ誘われた。目の前で窮地に陥った村を救うため、必死にその場で策を練り上げるも、敵とはいえ他人の人生を奪った重みに苛まれる。日本で生まれ育った精神は傷つきやすく、されど責任感と感受性は強く。他人を思うばかりに戦乱の世の到来に苦しむ、ふるう知識と宿る精神がいびつな少年。
魔剣使いであった育ての親に師事して修行を積み、アストレアの村で生きてきた少女。義父が亡くなったあと村が窮地に陥った際に、自身が魔剣使いとして半人前以下で戦力外だったことにコンプレックスを抱いている。粗野で乱暴な口調とは裏腹に、寂しがりで甘えたがり。仲間を守りたいと思う気持ちは一人前。
自国の民に豊かな暮らしをさせたい、と願うアッシア王国の第二王女。妾の子として複雑なしがらみを抱えて生きてきたが、行動力に富み、人を慕わせるカリスマに溢れている。目的を達成するためにはどんな手段もいとわないという強い意志と、相反する幼き少女としての弱さをあわせ持った十四歳。
漢気溢れるみんなのアニキ。義理人情を第一とする熱血漢で、初対面の竜基の悩みを見抜き、彼なりの答えで激励する。高らかに豪快に笑う北アッシア随一の武将の影響力は兵卒にまで及び、彼についていきたいと仕官してくる街の若者は非常に多い。根っからの好漢である面に加え、大陸でも指折りの魔剣使いとして名を馳せる。
ウルフロード・カンパニーが開発したカスタム・キューブ専用ゲームソフト。異世界軍事シミュレーションゲームとして高い完成度を誇る。1フェイズに一時間以上かかることがザラなのはリアリティを追求した結果である。
次世代型ハード“カスタム・キューブ”を開発し、専用ソフトを多く発売している企業。度重なる“神隠し”に自社が制作したゲームが関わっているということには当然否定的。
各所で起こっている失踪事件。何の前触れもなく人が消える、という都市伝説に端を発し、自衛隊の幹部ですら行方不明であるという大問題で世を騒がせている。
異世界“ワンダースフィア”にたった一つだけある大陸。十ヶ国以上に分割されているこの大地は、元々とある伝説の国が統一したとされている。気温の変動もあり、四季が備わった比較的温暖な気候。大陸中央付近が一番暑く、北南に行くにつれて冷涼になっていく。
適合者に使役された時のみ効果を発揮する戦術級兵器。
ものによっては戦略級にもなりうる。魔剣の存在そのものはオーパーツとされており、技術開発は出来ていない。
しかし、国に大きな利益を生む為に、発見され次第内々に使い手を捜索することが多い。
魔剣の形状は様々だが、“剣”を模したものが一般的なために“魔剣”と総称されている。
魔剣を使役できる“適合者”を指す言葉。
とある国では魔剣使いを実験道具のように使い捨てたり、逆に至上主義国家になっていたりと、国によって彼らの扱いは様々である。
大陸北端に位置する冷涼な地域の王国。
十三代に渡る王家だが、徐々に悪臣が蔓延り、王は暗愚への一途を辿る。
国は腐敗し民は苦しみ、敵国を阻むのは国境にそびえる険しい山脈のみとなっている。
アッシア王国北西に位置する辺境の領土。 悪辣だった前領主に代わり、新たな領主が赴任したとの噂があるが……